〈行動経済学〉意思決定にかかわる3つのヒューリスティック

こんばんは、こばいんです。

先日に引き続き、”Nudge”から行動経済学のエッセンスを学習していきます。

今回は、このAutomatic SystemとReflective Systemの相互作用から生まれている3つのヒューリスティックについて書いていきたいと思います。

  1. Anchoring(係留)
  2. Availability(利用可能性)
  3. Representative(代表性)

ヒューリスティックについて

そもそもヒューリスティックって何?

はじめにWikipediaから引用します。

ヒューリスティック(heuristic)とは、必ず正しい答えを導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法である。

”Nudge”のなかでも”Rules of Thumb”と表現されているので、簡単に言えば「経験則」のようなものでしょうか。

まあ、あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、普段の生活の中でも使っています。

ヒューリスティックの簡単な例

友人たちと草野球をすることになったとします。

だいたいのポジションが決まり、あとはピッチャーとキャッチャーのポジションを残すところで、候補は2人います。

  • 1人は背が低くガッチリしているタカシくん
  • 1人は背が高くスリムなアキラくん

そして、タカシくんとアキラくんの2人ともが「ピッチャーをやりたい」とお互い一歩も譲らなかったので、チーム全体の投票で決めることになりました。

この場合、アキラくんがピッチャー、タカシくんがキャッチャーとして選ばれるでしょう。

  • キャッチャーは重心低くがっしりしているイメージ(ドカベンで言う山田太郎など)
  • ピッチャーは背が高い人が多いし、有利だというイメージ(ダルビッシュ有選手など)

おそらく、投票する際には上のような考えが発生していたかと思われます。これもヒューリスティックの働きの一つです。

なんでヒューリスティックなんて使うのか?

前回の記事でも触れたとおり、確実に合理的な判断を下したいのであれば常にReflective Systemを使えばよいはずです。

だけど、なんでそうしないのか?

それは、Reflective SystemはAutomatic Systemと比べてより多くの時間やエネルギーを必要とするのですが、多忙で複雑な社会で生きる我々にとって全ての意思決定の場面に対してReflective Systemを使って考える余裕はないわけです。

そこで、ある程度正しい解答を素早く引き出せるヒューリスティックの出番なわけです。

3つのヒューリスティック

そんなヒューリスティックについて、ここでは3つについて述べてみます。

  1. Anchoring(アンカリング、係留)
  2. Availability(アベイラビリティ、利用可能性)
  3. Representative(リプレゼンテイティブ、代表性)

Anchoring(アンカリング、係留)

アンカリングヒューリスティックは、印象的な情報や数値を基準として行動に影響を与える心理特性を指します。

事例紹介として、大学生に次の質問をするシーンを想定してください。

  1. どのくらい幸せですか?
  2. どのくらいの頻度でデートしていますか?

a→bの順で質問された場合、aとbの相関は低かった(.11)ものの、b→aの順で質問されると、相関が上昇したそうです(.62)。

これは、bを先に質問されるとデートに関して思考が引っ張られるので、次にされるaの質問についてデートを中心に回答するからだと考えられます。

なお、アンカリングについては過去に取り上げていますので、そちらもご参照ください。

Availability(アベイラビリティ、利用可能性)

アベイラビリティヒューリスティックは、「すぐに思いつく」ものほど優先的に考えてしまうという心理特性のことを指します。

大規模な飛行機事故が起こったりすると、直後の飛行機利用者の数はグッと減ります。

なぜかというと、そのニュースに反応して多くの人が「飛行機は危険だから自動車や電車で移動しよう」と考えるからです。

ただ、飛行機が事故に起こる確率は、自動車が事故を起こす確率より明らかに低いです(ここらへんを参考に)。

自動車事故と比べればニュースなどで大きく扱われる飛行機事故は「飛行機=事故」を想起しやすい状況になって起こる典型的なヒューリスティックです。

Representative(リプレゼンテイティブ、代表性)

リプレゼンテイティブヒューリスティックとは、「代表的」なものほど「よくある」と思い込んでしまう心理特性のことを指します。

ここでは、有名な「リンダ問題」を出したいと思います。

【質問】

リンダは31歳、独身、話し好きで、非常に聡明です。大学では哲学を専攻し、差別や社会正義の問題に深く関心を持ち、反核運動デモ等にも参加していました。そんな条件設定から想定されるリンダ像として、一番もっともらしいものは次のうちどれでしょうか。

【選択肢】

  1. リンダはフェミニスト運動家である
  2. リンダは銀行の出納係である
  3. リンダはフェミニスト運動家で銀行の出納係でもある

カナダの大学生にこのアンケートを行ったところ、多くの人がCと回答しました。

選択肢Cはいわゆる「AかつB」であり、この確率はA単独もしくはB単独の確率より高くなることはあり得ません。

ベン図を描いてみた方がわかりやすいでしょう。

各エリアの大きさを確率として考えると、AとBが重なるCのエリアが一番小さくなることが見えてくるかと思います。

しかし、どうして多くの人がCと回答としたのでしょうか。

前提条件で示されたリンダの性格から、多くの人がリンダはフェミニスト運動家であること(A)はもっともらしいが、地味な印象である銀行の出納係であること(B)はもっともらしくないと考えるでしょう。さらに、リンダが銀行の出納係である(B)よりはフェミニスト運動家で銀行の出納係であること(A&B)のほうがもっともらしいと思うわけです。

この「もっともらしい」という言葉に代表性を指し示しています。

最後に…ヒューリスティックは必要、だけど投資は長考で

今回触れた3つのヒューリスティクスは我々が生きるうえで必要な能力です。

しかし、やはり投資という観点では、じっくり時間をかけて精度の高い判断をすることが必要なのかと思います。長期投資を心がければじっくり考えることができると思うので、無意識下の意思決定能力を振り切りたいところです。

投資で一番恐ろしいのは「バカな自分自身」、というくらいの気概でいたいところです(もちろん卑下しすぎはNGです)。

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