平均回帰のチカラ~The Acquirer’s Multipleより

こんばんは、こばいんです。

先日の記事で「The Acquirer’s Multiple(ディープバリュー投資入門)」を読んだ感想を大雑把にですが紹介しました。

今回は本で述べられている内容を語る上で欠かせない要素である平均回帰(Mean-reversion)について取り上げたいと思います。

平均回帰、それは全てを通常に押し戻すチカラ

平均回帰という言葉は元々統計学の分野から生まれた概念で細かいところは専門家の方に譲りますが、ざっくり言えばデータに偏りがあったとしてもいずれ平均値へと近くなる現象のことをいいます。

以下のイメージにあるとおり、基準(Normal)を大きく上回っている状況においては押し下げる作用が働く一方、基準を下回っている場合には逆に押し上げる力が働きます。

(このイメージが重要です。これから何杯もおかわりしていきますので笑)

(出典:The Acquirer’s Multiple)

バリュー投資の基本セオリー

生物や遺伝の場面で語られていた平均回帰ですが、投資の世界でも適用されます。

投資の文脈において平均回帰は市場の強力なチカラを指し、割安で評価されている株式の価格を押し上げる一方、割高で評価されている株式の価格を押し下げます。

上記イメージをより投資サイドに振って描き直せば、以下のようになります。

基準(Normal)を本質価値(Value)と読み換えることにより、平均回帰のチカラを駆使することで安きを買い高きを売ることによりリターンを得ることができるわけです。

これがバリュー投資の基本セオリーとなるわけです。

(出典:The Acquirer’s Multiple)

バリュー投資の大家であるベンジャミン・グレアムの提唱した安全域(Margin of Safety)もこのイメージで語ることが可能です。割安で評価されている価格と本質価値の差で表現され、これが大きければ大きいほど多大なリターンをもたらすわけです。

(出典:The Acquirer’s Multiple)

ちなみに、グレアム流では割安銘柄が本質価値に到達した時点で売却しています。より高値で手放せばさらに大きなリターンを臨めるかもしれませんが、ここで示しているイメージのように株価はキレイに推移するのではなく、よりランダムに動くこともあり、確実性を重視した考えによるものと理解しています。

競争、それが平均回帰を促す

さて、ここまで来るとなぜこのような平均回帰が起きるのかという話になるでしょう。

本の著者であるトビアス・カーライル氏に言わせれば、平均回帰が起きる理由は結構シンプルであり、競争(Competition)にあり、これは大半のビジネス領域において循環するということです。

素早い成長や高い利益は新規参入者を呼び込み、多くのプレイヤーで成長や利益を食い合うわけです。その結果、以前ほど美味しくなくなったビジネスとなり、プレイヤーが減少して競争原理が働かなくなる一方、生き残ったプレイヤーが再び成長し高い利益を生み出します。

これが一つのサイクルとなって繰り返されていくわけです。

(出典:The Acquirer’s Multiple)

現実はより複雑

ここまで簡易的なモデルで平均回帰について考察してきましたが、より現実的な側面でコメントしていこうかと思います。

はじめに、これまでの米国市場は基本は右肩上がりの推移を示してきたので、点線部分も同じように右肩上がりで推移しており、そこを中心に株価が振動しています。下図の青線が株価推移ですが、まさにそんな感じですね。

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(出典:『株式投資の未来』ジェレミー・シーゲル)

また、縦の動きは業界や企業によって大きく色が異なりそうということです。景気動向に左右されやすく、かつ競合の多い自動車産業あたりは上下の動きは激しい一方、規制されている電力業界なんかは逆に上下の変化は小さいかと予想されます。

同様に、横の動きに関しても業界や企業によってその周期は大きく変わってくるでしょう。

(出典:The Acquirer’s Multiple)

さらに、ウォーレン・バフェット氏の言うところの堀を持つビジネスであれば、競争優位性を高く保てることから本質的価値を株価が下回る期間は少ないと言えるのではないでしょうか。

このように現実的には複雑な様相を呈しているかと思いますが、全般的に見れば平均回帰のチカラは作用しており、その見極めが肝要なのかと思います。

最後に

今回はディープバリュー投資の根幹とも言える平均回帰について触れました。

平均回帰、それは全てを通常に押し戻すチカラであり、こと投資の世界においては割安で評価されている株式の価格を押し上げる一方、割高で評価されている株式の価格を押し下げます。

これを駆使することで安きを買い高きを売ることによりリターンを得るという、バリュー投資の基本を再学習することができました。

次回はディープバリュー投資入門で登場してくる「買収者のマルチプル(The Acquirer’s Multiple)」を用いた投資法について触れたいと思います。

ディープバリュー投資入門 ――平均回帰が割安銘柄を上昇させる (ウィザードブックシリーズ)

The Acquirer’s Multiple: How the Billionaire Contrarians of Deep Value Beat the Market (English Edition)

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