投資と投機について(後編)~セス・クラーマンの見解

こんばんは、こばいんです。

前回に引き続き投資(Investment)投機(Speculation)に関して、いよいよセス・クラーマンのご登場願います。

セス・クラーマンの見解

投資家について

セス・クラーマンが投資家を一文で表現すると次のようになります(日本分は拙訳)。

Investors believe that over the long run security prices tend to reflect fundamental developments involving the underlying businesses.

投資家は次のように信じています:長い目で見れば、株価は根底にあるビジネス(事業)の本源的な進展を反映する。

このあたりは前回触れた一般的な投資の解釈の範疇に収まるかと思います。

そして、クラーマンによれば、投資家が利益を得る可能性として少なくとも次のうち3つの方法を挙げています。

  1. 根底にあるビジネス(事業)の生み出すフリーキャッシュフロー
  2. 各種マルチプルの上昇
  3. 株価と事業の本質的価値の価格差の縮小

1についてはDCF法の枠組みで考えれば、しっかりとフリーキャッシュフローを出す企業へ投資することにより、将来的に高い株価として投資家に対して利益をもたらすと考えられます。

DCF法は企業が将来生み出すフリー・キャッシュフローの総合計を現在価値に割り引くことによりその企業の株式価値を算定する方法で、この界隈では主なやり方の一つです。

3については対象となる株式をその本質的価値と比較して安い価格で購入できれば、ゆくゆくは株価が本質的価値へ近づいたところで売却して利益を挙げられるという理解です。

しかしながら、2についてはうまく咀嚼しきれていないのですが、低PERなど割安で評価されている事業に対して投資家がより資金を投じることでこれらの数値が上昇し、結果として株価の上昇へつながると解釈しています。

投機家について

対する投機家に関してです。

こちらも前回触れた投機の定義と大きく変わりませんが、クラーマンが語るところによれば、投機家は株式の売買における判断基準を株価が上がるか下がるかの予測に委ねており、そこから利ざやを稼ごうとする人のことを指しています。

投機家のなかでは事業のファンダメンタルズは無視もしくは無関心とされ、それよりも他者が買うのか売るのかという行動予測を決断の拠り所としています。

そして、投機家は予測に取り憑かれているとも述べています。というのも、日々のテレビや新聞・雑誌などで市場の動向などの情報が提供され、考えられずにはいられないわけです。

さらに言えば、金融のプロフェッショナルですら短期的なミッションに従い、市場の変動を予測して投機家のような行動を取ることが多々あるわけです。

投資家として成否をわけるもの

さらに投資家として成否を分ける要素についていくつかのポイントを挙げています。

成功する投資家

成功する投資家の特徴に関してクラーマンが語る中で7点ほど列記します。

  • 投資においては感情を排して、他者の強欲や恐怖を利用できる
  • 自身の分析や判断に自信があり、市場の動きに合理的に反応できる
  • バブル市場においては注意を怠らずパニック市場においては信念を示す
  • 株価やその変動について、ミスターマーケットの誤った行動を利用する機会として捉える
  • 市場は効率的ではなく、平均以上のリターンを達成することは可能であると知っている
  • 株価が下がってもファンダメンタルズが不変であれば株を買い増せる
  • 株価の変動と根底にある事業とを明確に区別できる

成功できない投資家

成功を収めることができない投資家の特徴は以下のとおりです。

おおよそ上記の裏返しになります。

  • 自身の感情におうじて投資判断を下し、強欲や恐怖心で市場の変動に反応する
  • 投資の成功に近道があると信じている
  • 株価が下がっているときは買い増すのではなくパニックに陥る
  • ミスターマーケットをガイダンスとして見ており、結果として高く買い安く売っている
  • 市場は効率的であり、打ち負かすことができない存在だと信じている
  • 株価が落ちているならばビジネス(事業)も上手くいっていないと思う
  • 根底にあるビジネス(事業)を見るのではなく、むしろ市場の動向に焦点がある

イワシの話

最後に、投機にまつわる話で面白いエピソードがあったので紹介します。

There is the old story about the market craze in sardine trading when the sardines disappeared from their traditional waters in Monterey, California. The commodity traders bid them up and the price of a can of sardines soared. One day a buyer decided to treat himself to an expensive meal and actually opened a can and
started eating. He immediately became ill and told the seller the sardines were no good. The seller said, “You don’t understand. These are not eating sardines, they are trading sardines.”

カリフォルニア州モントレーの昔ながらの漁場でイワシがすっかり姿を消して、イワシ取引に市場が熱狂した古い話があります。商品取引業者が値を吊り上げた結果、イワシ缶詰の価格が高騰しました。そんなある日、ひとりの買い付け人が高額な食事を自分のごほうびにと決心し、缶をあけて食べはじめました。ところが彼はすぐに具合が悪くなった。売り手に対して悪いイワシだと文句を言ったところ、こう返答されたそうです。

「あんた、わかってないなー。そいつは食べるためのイワシじゃなくて、売るためのものなんだからよ」

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