投資と投機の違い(前編)

こんばんは、こばいんです。

前回セス・クラーマンを取り上げ、彼の著書で現在高値がついているレア本”Margin of Safety”についても触れました。

私自身も本は持っていないのですが、インターネットで検索するとサマリー記事やポッドキャストなどは見つかったので、それらから掻い摘んで行こうかと思います(どこまで続くかわかりませんが、、、)。

最初は投資(Investment)投機(Speculation)の違いについてです。

いくつかの視点から語りますが、大雑把に言えば「何」を見て資金を投じるかに違いがあるのかということです。

言葉の定義から

オーソドックスの辞書からその定義に差があるか見てみたいと思います。

投資

まず投資は「資に投じる」と分解できますが、コトバンクにアクセスしたところ、デジタル大辞泉では次のように定義されていました。

  1. 利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること。転じて、その将来を見込んで金銭や力をつぎ込むこと。「土地に投資する」「若いピアニストに投資する」
  2. 経済学で、一定期間における実物資本の増加分。

そして、時間軸としては中長期という意味合いが強く、そのあたりも考慮すれば

投資家は長期的な視野で資金をビジネス(事業)に投じる行為

と捉えることが出来ます。

投機

続いて投機は「機に投じる」と分解できますが、先と同様にコトバンクにアクセスしたところ、デジタル大辞泉では次のように定義されていました。

  1. 利益・幸運を得ようとしてする行為
  2. 将来の価格の変動を予想して現在の価格との差額を利得する目的で行われる商品や有価証券などの売買
  3. 禅宗で、修行者の機根が禅の真精神にかなうこと。師家の心と学人の心とが一致投合すること

そして、時間軸としては短期という意味合いが強く、そのあたりも考慮すれば

機会に乗じて、短期間で利益(利ざや)を得ようとする行為

と捉えることが出来ます。

事業に投じるのか、機会に投じるのか

投資家と投機家についてまとめて表記します。

投資:投資家は長期的な視野で資金をビジネス(事業)に投じる行為

投機:機会に乗じて、短期間で利益(利ざや)を得ようとする行為

なんとなくですが、投機家のほうがネガティブに捉えられがちな一方、投資家はその反動でポジティブに受け取られることが多いでしょうか。

さらに言えば、資産運用などにあまり興味ない人たちにとっては、投資と聞いても両者の違いは意識せず投機的な側面が先入観としてあるのかもしれません。

ところで、バリュー投資家は上記の解釈で言えば投資家に当てはまるのでしょうが、株価が本質的な価値から乖離して割安となっている対象をうまく購入するという観点でいえば、「機に乗じる」側面もあるのかなと個人的には思います。

賢者の見解(バリュー投資家たち)

それでは、続いて賢者たちの見解から投資家と投機家の違いを探っていきたいと思います。

なお、バリュー投資家に偏ってるのはご愛嬌ということで…

ベンジャミン・グレアム

まずはバリュー投資の開祖であるベンジャミン・グレアムの見解からです。

An investment operation is one which, upon thorough analysis, promises safety of principal and an adequate return. Operations not meeting these requirements are speculative.

投資とは、詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動を指す。そしてこの条件を見たさない売買を、投機的行動であるという。

投資に関しては上記の解釈に加えて、「元本の安全性を守りつつ」という部分が新たに加わっているかと思います。

この部分がまさにグレアムの提唱した安全域(Margin of Safety)を指しており、この概念が生み出された背景には大暴落によって破産に直面した彼自身の経験から導き出されたものだと言われています。

株価が一株あたりの簿価よりも安い銘柄を探し、その会社を買うことによって安全域を担保することで大暴落が起こったとしても耐えられるようにするというわけです。

個人的に面白いと思ったのは、グレアムの提唱する投資手法以外はすべて投機的行動だと捉えられている点です。

今はバリュー投資の観点では難しい時期ということもあり、ほとんどの株式購入はグレアムにとってみれば投機的行動として映ってしまうのかもしれません。

ウォーレンバフェット

続いて、グレアムの弟子であり、おそらく世界で一番成功しているバリュー投資家のウォーレン・バフェットの見解に触れたいと思います。

どこかのインタビューにおいて自身が投資家なのか投機家なのかテストする方法があると語っています。彼はこのような比喩やたとえ話が非常に長けていると思います。

I say the real test of what you’re doing is whether you care whether the markets are open. When I buy a stock, I don’t care whether they close the stock market tomorrow or for a couple of years… Now if I care whether the stock market is open tomorrow then I say to some extent I’m speculating because I’m thinking about whether the price is going to go up.

自分が投資をしているのか投機をしているのかのテスト方法として、市場が開いているかどうかが気になるかで試すことができるだろう。

株式を購入する際、私は市場が明日1日中もしくは数年間閉じていたとしても気にしないよ。

もし明日市場が開いているかどうか気にするようであれば、投機していることになる。なぜなら、株価が上がるかどうか考えていることになるからだ。

拙訳で多少わかりづらいところがあるかもしれませんが、要は投資家として対象企業の株式を購入すると決めたのならば数年間は持ち続けるべきだという主張です。

さもなくば、短期間での株価の上下が気になってしまうことを示唆しているわけです。

チャーリー・マンガー

続いて、バークシャー・ハサウェイの副会長としてウォーレン・バフェットの長年のパートナーであるチャーリー・マンガーの考えも触れたいと思います。

投資と投機に関する直接的な見解は見つけられませんでしたが、次のひとことは示唆に富んでいます。

「手っ取り早く金持ちになりたい」という欲望は非常に危険である。

バフェットも同様の発言をしていたかと思いますが、まさに投機的な考えの恐ろしさを説いています。

短期的な市場価格は、収益の基礎となる事業や資産の長期的な価値とは関係のない事象に翻弄され危険が孕んでいるというわけです。

なお、話は脱線しますが、バフェットの投資スタイルは師であったベンジャミン・グレアムの安全域を重視した投資手法がベースだったようですが、マンガーとのやり取りを経て一歩進展させることが出来たと語っています。

それは、割安だから買うという単純なものから、割高な銘柄ののあかにも素晴らしい掘り出し物があり、事業を取り巻く環境が有利に働いて本質的価値を長期に渡って増大させ続ける可能性があるということでした。

それが「とびきり良い会社をほどよい価格で買う」という考え方です。

…って、セス・クラーマンは?

ここからセス・クラーマンに登場を願おうと思いましたが、前口上で予想以上に書いてしまったこともあり、ここまでを前編として、次の記事でその中身を示したいと思います。

最後に

今回は投資(Investment)投機(Speculation)の違いについて色々取り上げました。

大雑把に言えば「何」を見て資金を投じるかに違いがあるのかということです。投資家によって多少の解釈の差異はあれども、以下がシンプルな解釈となるでしょう。

  • 投資:投資家は長期的な視野で資金をビジネス(事業)に投じる行為
  • 投機:機会に乗じて、短期間で利益(利ざや)を得ようとする行為

なお、私が投資家よりの考えを選好していることもあり、本記事のテイストも投資家よりですが、投機を否定するつもりはありません。リバモアのような相場師も凄いと思いますし、才能や胆力のある人は投機家として活動していくべきだと思います。

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