〈行動経済学〉フレーミング~捉え方で結果が変わる!?

こんばんは、こばいんです。

今回は「フレーミング(Framing)」という、情報の意味する内容が同じであっても、その心的構成の仕方によって結果が異なる現象を取り扱います。

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フレーミングはビジネスはもちろん、日常生活のあらゆる場面で登場するもので、知っておいて損はないと思います。

フレーミング(Framing)とは

繰り返しになりますが、情報の意味する内容が同じであっても、その心的構成の仕方によって異なる意思決定をすることがあります。この心的構成の仕方がフレーミング(Framing)というわけです。

私たちは何かを理解しようとするときに、無意識的に何らかの解釈の枠組み(フレーム)を駆使しています。個人個人で持っているフレームは異なっているため、全く同じ文章を読んだり、全く同じシーンを見ていたとしても、その解釈の仕方は人それぞれ異なってきます。

「固定観念」や「色眼鏡」などの言い方もできるかもしれません。

フレーミングの事例

いくつか事例をみるのが手っ取り早いですね。

生存フレームと死亡フレーム

「生存」と「死亡」の対極にある言葉ですが、これらの言葉の使い方で人の意思決定に大きな影響を及ぼします。

”Nudge”でも紹介されていましたが、医師が患者に対して「肺がんの治療法としてどちらを選ぶか」という質問に関して次の2通りで聞くとします。

  1. 施術5年後の時点で100人中90人が生存している手術ですが、受けますか?
  2. 施術5年後の時点で100人中10人が死亡している手術ですが、受けますか?

過去の実験によれば、aの形で質問をされれば多くの人が手術を受ける意思決定をするわけですが、逆にbの場合では手術を避ける人が多くなったとのことでした。

aとbは中身としては言っていることは同じですが(生存率90%、死亡率10%)、伝え方まさに表裏の関係で、aとbで受け取り方は異なります。

aでは「生存」に思考が引っ張られる一方で、bでは「死亡」を想起させれるわけです。

臓器提供の意思表示(Opt-in VS Opt-out)

続いて臓器提供の意思表示に係るフレーミングを見てみましょう。

実はちょっとした表示形式の違いだけで、「臓器提供の同意率」に関して国レベルで目を見張るほどの違いが生じます。

臓器提供の意思を示す為の“ドナーカード”は、日本では以下の形式となっており、裏面に臓器提供の意思を示す枠が設けられています。

(出典:日本臓器移植ネットワーク)

平成29年度の「臓器移植に関する世論調査」によると、日本における臓器提供の同意率(臓器提供の意思がある人)の割合は12.7%という数字が出ております。ちなみに、さらに4年前の平成25年度の同調査における数字は12.6%でほぼ変化がありません。

この日本における同意率が参照点となるわけですが、他国の状況と比べて高いのでしょうか、低いのでしょうか?

ヨーロッパの調査結果(2003年)ですが、まずは結果を以下のグラフで見てみましょう。

(出典:Do Defaults Save Lives?

パッと見るとヨーロッパ内で大きく2つのグループに分かれていますね。

オーストリアやベルギー、フランスなどの国々は100%に近い同意率を示しているのに対して、デンマークやドイツは低く、特にデンマークは5%未満です。

これは、「臓器提供への同意率が100%に近いオーストリアの人たちに対して、わずか4%ちょいのデンマークの人たちは他人のことを思っていない」ことを示しているのでしょうか?

そんなことはありません。

この圧倒的な同意率の差の元となっているのが、オプトイン(Opt-in)方式オプトアウト(Opt-out)方式という臓器提供の意思表示に対する質問形式の違いに依るところになります。

オプトイン(Opt-in)方式は明示的に「臓器提供します」と意思表示しない限りは、「臓器提供しない意思がある」と見なします。

日本でも採用されている質問形式で、上記ドナーカード画像を確認すればわかりますが、

「臓器提供の意思がある場合は○で囲んでください」

という方式を取っています。

オプトアウト(Opt-out)方式は逆に明示的に「臓器提供しません」と意思表示しない限りは「臓器提供に同意している」と見なします。

具体的には、「臓器提供への同意」をデフォルトとして、

「臓器提供の意思が無い場合は○で囲んでください」

という方式です。

上に挙げたヨーロッパの国で言えば、ドイツやデンマークはオプトイン方式を採用している一方、オーストリアやスウェーデンはオプトアウト方式を使っており、この質問形式の差異が臓器提供の同意率の圧倒的な差をもたらしています。

したがって、現在の日本では臓器提供者が少ないといわれるかもしれませんが、ドナーカードに「オプトアウト方式」を採用するだけでも状況は改善されるかもしれません。

松コース・竹コース・梅コース?

もっと日常的な例にもフレーミングは見られます。

それは、飲み会です。

あなたが飲み会の幹事になったとしましょう。日時を決めて、出欠確認を取り、居酒屋も確定させたところで、残すは飲み会のコース決めです。

  • 松コース(4,500円)
  • 竹コース(3,500円)
  • 梅コース(2,500円)

この場合、松竹梅とコースが3つある中で、

料金が高くはない」かつ「コース内容がそこそこ充実している

と判断される竹コースが選ばれやすいようです。

まあ、これは飲み会に限らず、いろいろな場面で見受けられると思います。売りたい商品や選ばせたい顧客単価があるのであれば、それが真ん中になるように高級商品やプランを準備することでフレーミングを用いることができます。

なぜフレーミングが働くのか?

さて、ここまでフレーミングの中身や事例について紹介しました。なんとなく、そのイメージはついたかもしれませんが、なぜフレーミングが作用するのかが気になります。

それは、以前に触れた、人間の2つの思考システムである Automatic SystemReflective System が関わってくるのだと考えられます。

上の手術の例で見たかと思いますが、理性的で思慮深い考え方であるReflective Systemを駆使すれば2つの質問が示している内容は同一であることがわかるはずです。

しかしながら、時間やエネルギーを要するReflective Systemを使うよりも、自動的・直観的なAutomatic Systemで考えてしまうわけです。そしてそれが、字面だけを捉えてaとbの2つの選択肢で異なる反応を取ってしまうわけです。

Automatic SystemとReflective System の詳細については過去に記事にしています。

最後に

今回は「フレーミング」について、情報の内容は同じであっても提示方法によって思考や判断に影響を及ぶことを学びました。

そして、いくつかの事例をみてわかるように、フレーミングは我々の生活の様々な面で見られるわけです。

重要な意思決定を下す際はフレーミングも意識してReflective Systemを使って、行いたいところですね(出来ればの話ですが)。

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