こんばんは、こばいんです。
今日は前日の米国株価の大幅安を受けて日経平均も急落して投資家にとっては刺激の強い一日だったでしょうか。職場では投資に興味ある人がいないこともあり、あまり話題にはなっていませんでしたが…
さて、読むのが遅い私ですが最近は以下の本を読みましたので、今回はその感想をば。
実は購入後に気づいたのですが、翻訳版が9月に出ていました(こちらは目を通していないので定かではありませんが、同じ内容のはず)。
ディープバリュー投資入門 ――平均回帰が割安銘柄を上昇させる (ウィザードブックシリーズ)
執筆時点での話ではありますが、英語に抵抗なくかつ電子書籍で構わないという方であれば原書のKindle版が一番安価でしたので、それがオススメかと思います。
内容としては、バフェットやグリーンブラットの「魔法の公式」のパフォーマンスを上回る「格安な価格の適正企業」(買収者のマルチプル:The Acquirer’s Multiple)を見つけ出す方法が紹介されています。
著者について
Tobias Carlisle(トビアス・カーライル)氏はオーストラリア出身の投資家でアクワイアーズ・ファンドのファウンダーであり、彼の投資手法を示したウェブサイトであるThe Acquirer’s Multipleの創設者でもあります。
企業買収を専門とした弁護士としてキャリアをスタートさせ、ヘッジファンドのアナリストを経て自身のファンドを2010年に立ち上げました。
関係ありませんが、俳優のようなカッコいい風貌です。
本書について
安きを買い高きを売る
邦題に含まれているキーワードであるディープバリュー投資ですが、私の印象としてはバリュー投資を基本的なスタンスとしつつ、定量的なアプローチに重きを置いている感じです。
バリュー投資を簡単に言えば、大衆が売りたいと思ったときに安い価格の株を購入し、大衆が買いたいと思ったときに売ることでリターンを得るというアプローチです。
つまり、下落余地は少ない一方で上昇余地は大きく、万が一間違っていたとしても、大きな損は被らないというわけです。この主張、モニッシュ・パブライを思い起こさせます。
ただし、割安銘柄は「業績が悪そうだ」とネガティブな印象を持たれているが故に割安と評価されています。しかしながら、市場に働く平均回帰と呼ばれる強力な力によって、このような業績が悪い割安銘柄を買うことで儲けることができるわけです。
なぜならば、平均回帰の作用によって割安銘柄は上昇し、割高銘柄は下落します。この平均回帰が本書のコアとなっており、こちらについては改めて別の記事で取り上げたいと思います。
印象はグリーンブラットの「魔法の公式」に近い
バリュー投資といえばウォーレン・バフェット氏がその筆頭かと思いますが、彼はだれもまねできない「適正な価格の優良企業」を見極める能力がありました。
ざっくり言ってしまえば、師匠であるベンジャミン・グレアムの元で身につけた定量的アプローチに加え、長年の投資パートナーであるチャーリー・マンガーのアドバイスから定性的な評価が昇華されたものでしょうか(故に再現性は高くないかと)。
また、ジョエル・グリーンブラット氏は『株デビューする前に知っておくべき「魔法の公式」』((原題:You can be a stock market genius))の中で、バフェット銘柄を検証して、それらが市場に打ち勝つことを示しています。
そして、本書ではバフェットやグリーンブラットの「魔法の公式」のパフォーマンスを上回る「格安な価格の適正企業」(買収者のマルチプル、具体的にはEV/EBITDAもしくはEV/EBIT)の見つけ方が紹介されています。
特に後半はグリーンブラットの「魔法の公式」で紹介されている公式とは異なる指標でポートフォリオを構成するものの、組成方法などはグリーンブラットのそれを踏襲していることもあり、過去につぶやいているように読後感の印象は近いものがありました。
The Acquirer's Multiple 大方読み終わった。前にもつぶやいたけど読後感はグリーンブラット氏の魔法の公式を読んだときに近い。
時間をとってブログで振り返りたいところ— こばいん (@kobainvest) October 2, 2018
最後に
最近読んだ「ディープバリュー投資入門」(原題:The Acquirer’s Multiple)の紹介でした。
平均回帰のチカラを学びとともに、格安価格の適正企業を見つけ出すことで高パフォーマンスが出せるということで興味深い内容かと思います。
次回以降、より深くその中身に触れていきたいところです。